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~現役弁理士が語る知財の眼と芽~
【弁理士の日記念ブログ企画2016】商標出願乱発男性に先をこされても権利化できるのか
放置状態のこのブログですが、今年も弁理士の日記念ブログ企画2016に参加させていただきます。

今年のお題は「知財業界でホットなもの(又は新しいもの)」です。

今、知財業界で話題になっているのは、出願手数料を支払わずに膨大な数の商標登録出願をしている元弁理士ではないでしょうか。

ちょうど、yahooではこんな記事が出てます。商標出願 乱発男性の主張

「民進党」、「STAP細胞はあります」をはじめ、話題になっているもの、使いそうなものを手当たり次第出願しています。

これに対し、特許庁では、こんな声明を出しています。自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)

出願手数料の支払いがなければ出願の却下処分をし、支払いがあった場合でも拒絶理由に該当する場合は商標登録されることがないので、自身の商標登録を断念しなくともよいということですね。

これ、本当に登録されるのか不安の方もいらっしゃると思いますが、商標出願乱発男性(以下、U氏)に先に出願されてしまった商標を、弊所では確かに最終的に登録することができました。

弊所のケースを説明する前に、U氏の手数料未納出願の経過について整理してみましょう。

1.出願
↓(約2週間)
2.特許庁の補正命令
↓(約2ヶ月)
3.特許庁の却下処分通知
↓(約3ヶ月)
4.特許庁の却下処分通知(再送1回目)
↓(約1ヶ月)
5.特許庁の却下処分通知(再送2回目)
↓(約2.5ヶ月)
6.特許庁の却下処分

整理してみて驚きましたが、1の出願から6の却下処分まで、9ヶ月くらい係属状態とすることができるのですね。

この間いつでも、U氏は、やろうと思えば手数料を納付して、却下処分とならないようにすることが可能です。

では、6の却下処分まで待てばいいじゃないかというご意見もありますが、4の却下処分通知の再送の後に分割出願をしています。

この分割出願は適法ではないので出願日が遡及することはないのですが、それでも6の却下処分前にした出願ということになります。

(尚、分割出願がなぜ不適法か説明については長くなるのでここでは割愛します。おそらく他のブログで詳しく説明されています。)

そして、U氏は分割出願を繰り返すことで、係属出願のない空白の期間がないようにしています。

このような状態ですから、却下処分が確定するまで待つのは得策でなく、出願するならば急いで出してしまった方がよいと思います。

さて、弊所のケースですが、出願は2の補正命令の後に行いました。

「よーし、これでU氏の出願が却下されれば大丈夫だ。」などと思えるはずもなく、小心者の私は万が一U氏に気付かれて手数料納付されたらどうしようとビクビクする毎日を過ごすことになりました(笑)

ちょくちょくJ-PlatPatで確認するのですが、なかなか出願却下まで辿り着かない。

そして、出願から5ヶ月経過してもU氏の出願は却下されず、とうとうU氏の先願を理由とする拒絶理由通知書を受領してしまいました。

ただ、この時点では5の却下処分通知の2回目の再送の後でしたので、意見書提出期間に6の却下処分となり、その旨を意見書で述べることで無事登録査定となりました。

ここで、意見書提出期間内にU氏の出願が却下処分とならない場合は、期間経過後に自分の出願が拒絶されてしまうのかという疑問が生じます。

しかし、U氏の出願が登録されない限りは拒絶査定とはなりませんので、その点は大丈夫です。

そんなわけで、U氏に先に出願されていても登録に至るというのは本当です。

ただし、余計な時間がかかりますし、目立った活動をしてU氏の目にとまっていればどうなるかわかりません。

そしてなにより、精神衛生上良くないです(笑)

現状、U氏の出願に対して後出しでも登録されているので、特許庁もあのような声明を出したとは思うのですが、出願人がもう少し安心して権利化活動できるように、積極的な手を打ってもらいたいものです。

現行の法律や運用では厳しいとは思いますが、特許庁様、何卒よろしくお願いします。(見てないとは思いますが)


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特許事務所経営の47歳、二児の父親です。

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